「世界の記憶」グローバル・ポリシー・フォーラムとは

「世界の記憶」グローバル・ポリシー・フォーラムの経緯と概要

パリのユネスコ本部で開催された第1回(2018年)、第2回(2021年)の「世界の記憶」グローバル・ポリシー・フォーラムでは、いずれも記録遺産に対する災害を食い止めるための政策立案とパートナーシップ構築に焦点が当てられました。

第1回フォーラムでは、「記録遺産の持続可能な保存のための災害リスクの軽減と管理」をテーマに、仙台防災枠組を参照しながら、「災害リスクの軽減と管理を通じた記録遺産の持続可能な保存にかかるユネスコの行動のための戦略的枠組」の骨子が議論されました。この戦略的枠組は、ユネスコ加盟国の政策立案者および記憶機関(公文書館、図書館、博物館など)のために作られた、危機に瀕する記録遺産を保護するための戦略的かつ実践的なガイドラインです。

第2回フォーラムでは、戦略的枠組のさらなる検討に加え、小島嶼開発途上国 (SIDS) と後発開発途上国 (LDCs) に焦点を当て、危機に瀕する記録遺産をとりまく世界各地域の現状と課題、優良実践例が共有されました。

 

「世界の記憶」グローバル・ポリシー・フォーラムは、文部科学省の資金拠出によるユネスコ「政策立案と能力開発を通した記録遺産の保存」事業の旗艦活動です。以下の指標は過去のフォーラムの成果の一端です。

50+
様々な分野の 50 人以上の登壇者
900+
人を超える参加者
120
を超える参加国
35
SIDS および LDCs から 35 か国が参加
「世界の記憶」を未来へ

今回の第 3 回フォーラムでは、自然災害と人為的災害の両方を対象とし、危機に瀕する記録遺産をより適切に保護するための国際協力の強化について議論します。

Memory

ユネスコ「世界の記憶」事業

2022年は、ユネスコ「世界の記憶」事業(Memory of the World(MoW)Programme)の 設立30周年の節目の年です。本事業は、世界的に重要な記録遺産(Documentary Heritage)への認識を高め、保存やアクセスを促進することを目的とし、ユネスコが1992年に設立しました。この事業の三つの主な目的は、記録遺産の保存を促進すること、記録遺産への普遍的なアクセスを促進すること、記録遺産の重要性に対する世界的な認識を高めることです。

この目的の達成のため、ユネスコ「世界の記憶」事業は、国際的な政策提言と国際協力を促進する様々なプロジェクトを長年にわたり世界中で実施してきました。本事業の趣旨を、ユネスコ加盟国が自国の法律や政策へ統合することを促すことを目的に、「デジタル形式を含む記録遺産の保存およびアクセスに関する勧告」が2015年にユネスコ総会で採択されました。

本フォーラムは、今年世界各国で行われるユネスコ「世界の記憶」事業30周年記念行事の一つです。

 

さらに知りたい方へ:

文部科学省ウェブサイト 「世界の記憶」について

ユネスコ「世界の記憶」ウェブサイト(英語)

ユネスコ「世界の記憶」日本政府信託基金プロジェクト

文部科学省は、ユネスコが「世界の記憶」事業において事業目的を推進できるよう、2017年から日本信託基金(Japanese Funds-in-Trust)をユネスコへ拠出しています。 2018 年から 2022 年にかけて実施されたプロジェクト「政策立案と能力開発を通した記録遺産の保存」では、2回のグローバル・ポリシー・フォーラムをはじめ、記録遺産の保存やアクセスにかかる能力開発のためのワークショップ、地域フォーラム、調査などが行われました。

このプロジェクトは、記録遺産の持続可能な保存のための適切な政策ガイドラインと戦略を策定する際に、ユネスコ加盟国とその国の記憶機関を支援することが目的です。その際、日本の強みである災害リスク削減(Disaster risk reduction)のアプローチを記録遺産の保護政策に取り入れたことも特徴の一つです。

2022 年 6 月には、「記録遺産の保存のための政策立案と能力開発における成果の統合」をテーマに、新しいプロジェクトサイクルが開始しました。このプロジェクトは 3 年間にわたり、次のことを目指しています。

·   グローバルパートナーシップを通じて、記録遺産の保存のための災害リスク軽減に関する政策アドボカシーと認識向上に関する取組をフォローアップし、さらに促進する。

·   特に後発開発途上国、小島嶼開発途上国、アフリカ、アジア・太平洋地域における記憶機関の能力構築を強化する。

さらに知りたい方へ
UNESCO
2022
UNESCO
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